ボトックス注射とは
ボトックス注射の主成分である「ボツリヌスキトシン」は筋弛緩作用があるため、筋肉に注入することで筋肉を緩めて、しわの改善効果が見込めます。
また、発達し過ぎたエラの改善やふくらはぎを細くする効果、ワキガや多汗症の改善、ガミースマイルの改善など効果は多岐に渡ります。
もともと美容目的というよりは、顔面や目のけいれんの改善目的の治療薬として使用されていましたが、美容目的としても幅広く使われるようになってきました。
ボトックス注射は、施術にメスを使用せずに注射をするだけで、効果も徐々に表れるため、施術したことを周囲の方に気づかれにくく、自然に気になる部分の改善が見込めます。
ボトックス注射の効果
しわの改善
ボトックス注射は、筋肉の弛緩、収縮作用により筋肉の働きを弱めて、おでこや眉間などの表情ジワの改善に効果が期待できます。
表情ジワとは、笑った時や眉毛を上げた時に筋肉を動かすことでおでこや眉間にできるシワのことをいいます。
加齢によって皮膚が薄くなると、表情を作る筋肉は同じ動作を繰り返すため深く刻まれるようになります。
このしわをボトックス注射によって筋肉の働きをやわらげると、しわの改善効果が期待できます。
発達し過ぎたエラの改善
以前は、お顔のエラで悩んでいる方の施術は、骨格を削る治療がありましたが、ダウンタイムが大きく、広く普及はしていません。
一方、エラボトックスはダウンタイムが少なく、非常に簡単に処置ができて効果も現れます。
エラが張っている方は筋肉が発達しているため、エラが目立ってしまいますが、ボトックス注射を打つことでシャープな顔立ちを手に入れることができます。
歯ぎしりをする方は、寝ている間に強い噛みしめをしているケースが多く、エラの筋肉が発達しやすくなります。
その場合には、通常より数回多くボトックス注射が必要になります。
また、ボトックス注射の持続時間は3~6ヶ月程度なので、効果を持続させるためには、定期的にボトックス注射を打つ必要がありますが、繰り返し注射することで、持続時間が長くなります。
ふくらはぎを細くする効果
スポーツで鍛えている方やハイヒールを履く機会が多い方は、ふくらはぎに筋肉がつく「ししゃも足」になりやすい傾向があります。
ふくらはぎは足やせをしようと運動をすると、さらに筋肉がついてしまいます。
また、マッサージなどでふくらはぎを細くしようと思っても、むくみなどの改善効果は見込めますが、ししゃもあしには効果が見込めません。
その場合、ふくらはぎのボトックス注射が効果的です。
筋肉の働きが緩やかになるため、筋肉を使い過ぎる過度な運動をしなければ、次第にふくらはぎが細くなっていきます。
ふくらはぎのボトックスがおすすめの方
- 筋肉でがちがちになっている方
- ししゃも足を改善したい方
- ふくらはぎを細くしたい方
ワキガや多汗症
ワキガは、アポクリン線から出る汗と、皮膚の表面の雑菌が原因でにおいを発生します。
ワキガには、2つの治療法があります。
1 ボトックス注射で汗の量を減少させる
2 アポクリン腺を取り除く根本治療
ボトックス注射は簡単に施術できますが、アポクリン線を取り除く治療は手術が必要です。
アポクリン線を取り除く手術は、根本治療ですが、ダウンタイムもありますし、術後の傷後や色素沈着のリスクもあります。
それに対して、ボトックスは対処療法になりますが、ボトックスの効果が出ている間は汗の量を減らすことができるため、においがかなり軽減します。
また、脇汗だけでなく、手汗や足の汗が気になる方にも有効です。
脇への注入方法
アポクリン線や汗の原因になるエクリン線も多くは表皮内にあるので、皮膚の中でもかなり浅い部分に注射していきます。
(わき毛があっても問題ありませんので、男性の方もご安心ください。)
多汗症の方もワキガの方も注射範囲は同様で、毛穴の多い範囲に注射します。
保険適用になるの?
2012年から一部の原発性局所多汗症の診断基準を満たして、重度の方が条件になるため、ほとんどの場合において保険適用外になります。
花粉症
花粉症の時期になると、多くの方が鼻水や鼻つまり、目のかゆみなどの不快な症状で困っているのではないでしょうか。
アレルギー性鼻炎の方は増加しており、成人の方のおよそ2人に1人が花粉症というデータもあります。
花粉症ボトックス治療は、鼻腔内にボトックスを浸透させることで鼻水や鼻つまりを改善する新しい治療です。
花粉症ボトックスの場合には、鼻炎薬を服用した時の眠気や倦怠感などを感じることなく、快適に生活ができます。
ほかの花粉症の治療とも併用できます。
また、花粉症のボトックスは1シーズンに2回程度が目安になります。
ほかの施術とは異なり、注射をするわけではないので、痛みは伴わない特徴があります。
ボトックスが花粉症に効果的な理由
ボトックスには、神経伝達物質を抑える働きがあります。
美容効果では、しわの改善や顔痩せなどの効果が見込めますが、鼻粘膜の副交感神経の興奮を抑える働きもあります。
花粉症ボトックスは、この効果を利用して鼻の粘膜にボトックスを浸透させて、花粉症の症状を抑えます。
早ければ、施術直後から鼻水、鼻つまり、目のかゆみなどの症状を抑えることを実感できます。
効果の持続時間
施術方法にもよりますが、ボトックス滴下法は2週間~1.5ヶ月程度です。
ガーゼパッキング法は効果が高く、1~4ヶ月程度で効果が実感できます。
そのため大切な予定(試験、面接など)に合わせて、事前に施術することをおすすめします。
痛みやダウンタイムはなく、花粉症の症状を緩和させることが期待できます。
花粉症ボトックスがおすすめの方
- 鼻炎薬による眠気や倦怠感が強い方
- 花粉症がひどい方
- 薬がないと症状がつらい方
- 痛い治療を苦手な方
花粉症ボトックスの2つの施術方法
ガーゼパッキング法
ガーゼに高濃度のボトックスを浸して、鼻の穴に10分程度詰める施術です。
ボトックス濃度が滴下法より高いため、高い効果が見込めます。
1シーズンに1~2回が目安です。
鼻腔滴下法
注射器を使用して、ボトックス液をぽたぽた滴下します。
(注射器を使いますが、針を刺すわけではありませんので、ご安心ください。)
施術時間も10分程度です。(その後10分程度安静にしていただき、様子をみます。)
最も簡単な方法で、1シーズンに2~3回が目安です。
ガミースマイル
ガミースマイルは、通常より歯ぐきが出過ぎてしまう状態のことをいいます。
特に笑った時に歯ぐきが目立つことが多く、笑顔の魅力が半減してしまいます。
ガミースマイルの治療は、ボトックス治療のほかに「矯正治療」と「外科治療」があります。
ガミースマイル治療がおすすめの方
- 笑うと歯ぐきが目立つ
- 歯ぐきがコンプレックスで思い切り笑えない
ガミースマイルの原因
上唇を動かす筋肉が発達し過ぎていると、歯ぐきが見えすぎてしまい、ガミースマイルの原因になることがあります。
また、上の歯ぐきが発達しているため、唇が閉じにくい場合もガミースマイルになることがあります。
ガミースマイルの治療法
歯並びが原因のガミースマイルに関しては、矯正治療が有効ですが、歯ぐきや唇の筋肉が原因の場合には、ほかの治療法をご提案いたします。
ボトックス注射によるガミースマイルの改善
笑った時に上がり過ぎてしまう唇の筋肉にボトックス注射を打つだけで、ダウンタイムもなく施術が可能です。
ボトックス注射には筋肉の働きを弱める効果がありますので、唇が上がり過ぎるのを防ぐことができます。
ボトックスの効果は2~3日後に現れることが多いため、効果を実感しやすいのは2~3日後になります。
効果は数か月~半年が目安ですが、継続してボトックス注射を打つことで筋力が弱くなり、注射の効果が切れた後も以前より症状が軽くなります。
ボトックスの副作用は?
まれに注射の跡が分かる場合がありますが、1週間程度で目立たなくなります。
また、笑った際に左右の唇に差が出る場合がありますが、唇の上がり方が強い方にボトックスを追加することで左右のバランスを整えられます。
広範囲に効かせすぎると、唇が上がりにくく笑顔が不自然になってしまうことがあります。
歯ぐきの切開術によるガミースマイルの改善
歯ぐきを切開する方法で、上唇の裏側の部分を切開して、縫い縮めることで笑った時のガミースマイルの改善が見込めます。
手術は30分程度で終わりますが、傷口が治癒するまでに1週間程度の期間がかかります。
ただし、傷口が内側になるため、腫れた場合でも内側が少し腫れる程度で見た目は分かりにくいです。
腫れは2~3日がピークになり、1週間程度で落ち着いてきます。
内出血はほとんど内側になりますが、まれに表側に広がって見えてしまう場合があります。
手術による合併症
手術をした部位の周辺が一時的に鈍くなる場合がありますが、傷口が治癒すると落ち着いてきます。
1~2カ月程度の経過で元に戻ります。
口角ボトックス
加齢などが原因で口周りの筋力が衰えてしまい、口角が下がりぎみになってしまうことがあります。
口角が下がると、不機嫌な印象や老けて見えるなどのマイナスな印象をもたれてしまいがちです。
口角ボトックスでは、口角下制筋にボトックスを注入して、口角を下に引っ張る筋肉の働きを弱めます。
口角ボトックスの副作用は?
口角ボトックスはダウンタイムも少ない施術です。
加齢によるたるみの場合には、ボトックス注射では対応ができない場合があります。
医師と相談の上、施術できるか確認します。
【まとめ】
ボトックス注射の施術は、ダウンタイムもほとんどなく、気になる部分をピンポイントで施術することができます。
施術できる部分は、おでこや眉間などのしわ、気になるエラの改善、ししゃも足のふくらはぎ、ワキガ・多汗症、ガミースマイル、口角の下がりの改善などがあります。
患者さまのお悩みを伺い、ボトックス注射やほかに考えられる施術も含めて、ご相談させていただきますので、気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。